認知症介護基礎研修とは?

認知症介護基礎研修とは、介護未経験者や無資格の従事者向けに、認知症に関する深い理解とチームケアの向上を目指した研修です。

新卒や中途の新入職員は入職後１年以内の受講が義務付けられています。ただし、福祉系高校や養成施設で関連科目を履修した場合は免除されることもあります。

一方、民間資格を持っている場合は免除されないなど、介護に携わる人の状況によって変わるので、受講する前は各自治体にお問い合わせしてみましょう。

認知症介護基礎研修で学ぶこと

認知症介護基礎研修では、認知症患者への理解、基礎知識、認知症ケアへの考え方などを学びます。
これらの研修は、多くの自治体が研修委託している実施団体である、認知症介護研究・研修仙台センター（仙台センター）の研修カリキュラムが参考にされています。研修カリキュラムの具体的な内容は以下となります。

認知症患者への理解・基礎知識

認知症患者を理解するためには、中核症状の把握が重要です。中核症状は、記憶障害や見当識障害、失語、失行、失認、実行機能障害、判断の障害が顕著に現れるのが特徴です。

また、不快感や不安感、自発性の低下、混乱、感情の変わりやすさなどが生じることもあります。主な疾患は、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症が存在します。認知症患者によって症状が異なるため、個々の症状を理解し何がその症状を引き起こしているのかという根本を把握することが大切です。

認知症ケアの実践

認知症ケアの実践で重要なのは「尊厳の保持」です。具体的には、認知症患者の気持ちを受け止めて寄り添うこと、認知症患者のテリトリーを守ること、継続が可能なケアをすること、本人の意思が尊重され人権が守られることがあげられます。まずはこれらを理解したうえで適切なサポートを行うことが大切です。

研修にかかる費用と所要時間

認知症介護基礎研修は、半日から1日で修了できる研修です。オンラインのeラーニングの場合、約150分の動画視聴後、復習問題や確認テストを行います。オンライン配信を含む集合型研修では、3時間の講義（認知症の人の理解と対応の基本）と3時間の演習（認知症ケアの実践上の留意点）の合計6時間で構成されています。

初心者でも短時間で認知症ケアの基礎を学べるように設計されており、費用は自治体や実施団体により異なりますが、3000円～5000円程度です。

認知症介護基礎研修後のスキルアップ

認知症介護基礎研修後のスキルアップは、「認知症介護実践者研修」、「認知症介護実践リーダー研修」、「認知症介護指導者養成研修」などの研修が用意されています。実践的な知識の習得から始まり、リーダーや指導者になるための研修など、順にステップアップできる制度が整っています。

詳しくは以下となります。

・「認知症実践者研修」

認知症ケアの理念を理解し、実践的な知識と技術を習得するためのものです。基本的な認知症ケアに加え、具体的な支援のためのアセスメントと実践方法を学びます。カリキュラムは、約31時間の講義と演習、そして約4週間の職場実習で構成されています。

・「認知症介護実践リーダー研修」

介護施設や事業者のケアチームにおけるリーダーを養成するためのものです。認知症の専門知識に加え、チームケアとマネジメント、指導方法を学びます。カリキュラムは、約42時間の講義と演習、そして約4週間の職場実習で構成されています。

・「認知症介護指導者養成研修」

認知症介護実践研修の企画立案、介護の質の改善について指導できる人材を養成するための研修です。カリキュラムは、約30時間の講義と演習、そして約5週間の職場実習で構成されています。

まとめ

認知症介護基礎研修は、認知症に関する知識やスキルを身につけるためのものであり、本人、家族、介護職員の安心、安全を確保する上で必要不可欠な研修です。介護職員の方は積極的に受講して自身のスキルアップを図り、より質の高い認知症ケアを目指しましょう。